つるし雛の由来
つるし雛(吊り雛)は、江戸時代に始まったと言われています。あの立派な雛人形は、どこの家庭でも買えるものではありませんでした。
雛飾りをそろえることができなかった一般家庭では、家族や近所の人が着物の「はぎれ」を持ち寄って、いろんな物を手作りして、ぶら下げて飾ったのが由来のようです。
今のお雛さまとは、ずいぶん違うものですが、子供への愛情がいっぱい詰まったものです。つるし雛に飾ってある物は、子供の成長に関連した、意味のあるものです。
無病息災を願って
どこの親でも、「子供が無事に成長するように」と願って、いろんな物を飾ってますが、自分達の出来る範囲で、無理をせずに作られた物が「つり雛」です。
「衣食住に困らないように」との願いを込めたり、遊び道具にもなるような品も作って、吊り下げられたそうです。
子供が生まれてから成長に沿って、必要な願いが込められています。子供のお守りとして、大切にされてきたようです。
つるし雛に飾られるもの
つり雛として飾られる物は、基本的には「衣食住に困らないもの」をメインに、いろんな物を飾ります。例えば・・・
唐辛子(とうがらし)
可愛い娘に「変な虫がつかないように」とか、お雛さまが虫にやられないようにという意味が込められています。
鳩(はと)
「平和の象徴」とされていて、縁起がよい事で知られています。
また、鳩は「むせたりしない」との事で、赤ちゃんがミルクをしっかり飲んで、成長するようにとの願いも込められています。
鶴・亀(つる・かめ)
長寿の代表とされていて、「健康で長生きできるように」との祈りが込められています。
巾着(きんちゃく)
「お金に困らず幸せな人生を送れるように」との願いが込められています。
猿(さる)
病気や災難が「去る」ようにという意味が込められています。
柿(かき)
柿は長寿の木と言われていて、「幸せをかき取る」とされています。栄養価も高いので、子供の成長も願っています。
桃(もも)
桃は、花も葉も薬効があり、邪気も払ってくれて、延命的効果があるとされます。
だるま
だるまは「七転び八起き」と言われ、とても縁起がよく「福を呼び込む」と言われています。
三角袋(さんかくふくろ)(薬袋)
昔は三角袋に薬を入れていたようで、「薬に頼らず健康で育つように」という願いが込められています。
金魚(きんぎよ)
金魚は赤いので「魔除け」になり、金運に巡り会えたり、華麗な人生を送ることが出来るように、また、芽が出るようにとの願いが込められています。
まだまだ約50種類ほどの飾りがあるようですが、どれも親の愛情がいっぱいこもっているものばかりです。
京都・法住寺 つり雛
法住寺(ほうじゅうじ)は、三十三間堂のすぐ近くにあります。
アクセス 後白河法皇御所聖跡 天台宗 法住寺ひな祭りの新たな楽しみ
三十三間堂へ、瀬戸内寂聴さんの法話を聴きに行ったとき、法住寺に寄りました。つり雛が飾られているのを初めて見て、かわいさに感動!
そして、このつるし雛に、こんなにも深い意味が込められているとは思ってもいませんでした。
いつの時代でも、親が子を思う気持ちは変わらないものですね。お雛様と一緒に、つるし雛も飾ってみてはいかがでしょうか。